日本独自の文化が花開いた江戸時代。その江戸の文化を類まれな表現力と技術で描き、世界中から高い評価を得ているのが「浮世絵」です。この浮世絵の世界には、江戸の風俗史として「日本の食」がたびたび描かれてきました。
「和食」が無形文化遺産へ登録され注目を集める中で、浮世絵そのものの魅力を伝えるだけではなく、描かれた食のシーンから当時の料理を再現し、そのレシピを解説。そこから現代の暮らしにもつながる江戸の食文化や、江戸時代ならではの料理方法も紹介します。

見立源氏はなの宴 三代歌川豊国(国貞) 味の素食の文化センター蔵 通期
●見どころ
季節の楽しみと食
泰平の世が続いた江戸時代、人々は季節の楽しみとともに「食」を謳歌することも忘れませんでした。
春夏秋冬の年中行事にまつわる浮世絵を見てみると、季節感あふれる華やかな場面の中に、寿司や豆腐、スイカや焼き芋、にぎりめしや餅など人々に親しまれた「食」が存在感を放ちます。
にぎわう江戸の食卓
江戸時代の食模様が描かれている浮世絵を見ながら、当時の食事情を紐解いていきます。
「江戸湾」で捕れたネタを用いた寿司、鰻、天ぷらをはじめ、私たちにとってなじみのある料理が描かれた浮世絵を紹介。 さらに、江戸の料理書から、浮世絵に描かれた食・料理を再現した、当時のレシピも紹介します。
江戸の名店
江戸時代後期には多くの料理茶屋が誕生し、文人たちの交流の場となり、書画会や句会なども催されるようになりました。
こうした場所もしばしば浮世絵に描かれています。座敷へ料理を運ぶ軽子の姿なども描かれており、大きな御膳にたくさんの料理を乗せて運ぶ姿から、どのような料理が出されていたかを想像させます。
旅と名物
江戸時代には五街道とともに、そこにおかれた宿場も整備されていき、庶民たちも旅に出かけるようになります。そのような背景から、東海道を題材にした数多くの浮世絵作品が生み出されています。
歌川広重や葛飾北斎はいくつもの東海道シリーズを手掛けていますが、そこには各宿の名勝や名物が描かれており、当時の人々が美しい景色やおいしい食べ物を楽しみに、道中を進んでいったことを思わせます。
春の虹蜺 歌川国芳 個人蔵 通期
名酒揃 志ら玉 歌川国芳 江戸ガラス館蔵 通期
江戸高名會亭盡(えどこうめいかいせきづくし) 両国柳橋河内屋 歌川広重 味の素食の文化センター蔵 通期
おいしい浮世絵展 ~北斎広重国芳たちが描いた江戸の味わい~
会場/森アーツセンターギャラリー 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階 ☎03-5777-8600(ハローダイヤル)
会期/2020年7月15日(水)〜9月13日(日) ※会期中展示替えがあります
開館時間/10:00〜20:00
観覧料/一般1,800円、大学・高校生1,300円、中学・小学生800円 ※障がい者手帳をお持ちの方とその介助者1名様は当日料金の半額
詳しくは、「おいしい浮世絵展」公式サイトにてご確認ください。