江戸時代、花の名所は今よりも数多くあり、花の名所を訪れることは、人々にとって何よりの娯楽でした。当館が所在する地域(現・墨田区)には、現在まで残っているものも含め、墨堤、小村井の梅屋敷など、近隣の亀戸には亀戸天神、梅屋敷といった数多くの花名所があり、江戸の人々に親しまれ、浮世絵の格好の画題にもなっていました。
また、18世紀半ばに植木鉢が普及すると、草花は人々にとってより身近なものとなりました。鉢植を飾って楽しむ人々や、花弁などを変化させた朝顔や菊細工といった多様な園芸の流行が、浮世絵に描かれるようになりました。
本展は、「花見から鉢植へ(プロローグ)」「身の回りの園芸」「見に行く花々」「役者と園芸」の4つのコーナーで構成し、江戸の人々の草花への愛、そして「園芸熱」を、前・後期合わせて約200点の浮世絵を通してご紹介します。

■開催概要
名称 : 「江戸の園芸熱ー浮世絵に見る庶民の草花愛ー」 (エドノエンゲイネツ ウキヨエニミルショミンノクサバナアイ)
会期 : 2019年1月31日(木)~3月10日(日)
・前期:1月31日(木)~2月17日(日)
・後期:2月19日(火)~3月10日(日)〕
主催 : たばこと塩の博物館
会場 : たばこと塩の博物館 2階特別展示室
所在地 : 東京都墨田区横川 1-16-3 (とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分)
電話 : 03-3622-8801
FAX : 03-3622-8807
・入館料 : 大人・大学生:100円(50円)
・満65歳以上の方(要証明書):50円(20円)
・小・中・高校生:50円(20円)
※( )内は20名以上の団体料金
開館時間 : 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館日 :月曜日(ただし、2/11は開館)、2/12(火)
■展示の構成と作品紹介
[プロローグ 花見から鉢植へ]
江戸時代を通して、四季折々に花を観賞に出かけることは庶民の娯楽の一つでした。江戸後期には花名所のガイドブックも出版され、人々の生活に花見が根付いていたことがわかります。さらに18世紀半ばになると、植物を手元に置くための必須アイテムである植木鉢が普及し始め、庭を持たない多くの江戸庶民でも身近な園芸を楽しめるようになりました。



[身の回りの園芸]
鉢植の普及で園芸はより身近なものとなりました。風景画や美人画のほか、うちわ絵やおもちゃ絵などの鑑賞用でない、実用的な浮世絵にも鉢植が多く描かれました。
このコーナーでは、縁日や盛り場などの植木売り、振り売り(店を持たない植木売り)が鉢植を売るようすや、人々が鉢植を選ぶようす、座敷や窓際など身近に置いて愛でるようすなどを描いた浮世絵を紹介します。