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日本沿岸には黒潮と親潮が流れています。そのお陰で海の中は変化に富み、魚類や生物が豊かなのです。冬季には北海道に流氷が漂着するので「流氷ダイビング」が可能ですし、沖縄では「サンゴ礁ダイビング」ができます。こんなことができる国は日本だけです。ここでは、個性豊かな日本の海に生息する魚を紹介していきます。
大方洋二(水中写真家)

Photo & Text : 大方洋二 Yoji Okata

キーワード: 奄美群島 / イソギンチャク / クマノミ

クマノミでイソギンチャクは健康に

イソギンチャクと共生していることで有名なクマノミ類。世界に26種いますが、日本ではクマノミ、ハナビラクマノミ、カクレクマノミ、ハマクマノミ、セジロクマノミ、トウアカクマノミの6種が見られます。

共生相手のイソギンチャクも種類が多く、それぞれ相性があります。最も融通性があるのがクマノミで、約10種のイソギンチャクに住めます。

ちなみに他のクマノミ類は2~3種です。また、クマノミは低水温にも強く、北限は千葉県あたりで、他の5種は奄美群島以南です。

イソギンチャクの触手には毒があります。でもクマノミは粘液で覆われているので平気です。イソギンチャクに守られているわけですが、イソギンチャクはどのようなメリットがあるのでしょうか。以前は、クマノミがイソギンチャクのエサ(魚)をおびき寄せるといわれていましたが、クマノミが触手の間に入ることでマッサージ効果や、まんべんなく太陽光が当たってイソギンチャクは健康になることがわかりました。

オオサンゴイソギンチャクに住むクマノミのペア。左がオス(奄美大島)
シライトイソギンチャクに住むクマノミ。中央がメスで、小さい2匹は幼魚(沖縄)

オスがメスに性転換!

クマノミの大きさは、オスが女性の手のひら、メスは男性の手のひらほどです。メスが大きな理由はいくつかありますが、後述します。

イソギンチャクに住むクマノミを見てみると、成魚が2匹、幼魚が数匹の場合が多いようです。一見家族のようですが、血縁関係はありません。なぜなら、卵からふ化した仔魚は浮遊生活を送るため、元の家に戻れる可能性はほぼゼロだからです。成魚のオスとメス以外は未成熟なので繁殖には参加できませんし、大きさによって序列があり、制御されるので成長ホルモンが分泌されず、成長できないといわれています。

一つのイソギンチャクに住むクマノミのペアは、概ね死ぬまで一緒です。したがって、幼魚は自分より大きな個体がいなくならないと大きくなれません。運良く大きくなって成熟するとまずオスになります。繁殖はできますが、メスが生きている限りオスのまま過ごします。

もしメスが寿命だったり、捕食された場合のみオスがメスに性転換するようです。イソギンチャクという限られた住みかなので、こうした特殊なかたちに進化したのでしょう。

産卵中のクマノミペア。産みたての卵は鮮やかな赤(高知・柏島)

オスとメスでは尾ひれの色も違う

ところで、オスとメスは大きさだけでなく、尾ビレの色も違います。メスは白ですが、オスは黄色い帯が入っています。ただし、この黄色い帯のオスは沖縄や奄美などサンゴ礁域に生息するもので、九州以北の温帯域に生息するオスは、尾ビレ全体が黄色いのです。理由はわかりませんが、このような現象を地域変異といいます。

繁殖期は、沖縄などのサンゴ礁域では年間を通してですが、温帯域では初夏から秋までです。イソギンチャクのそばの岩肌に産卵します。産みたては真っ赤で、発育するに従い茶色くなってきます。6~10日でふ化し、5~6日後また産卵します。

卵の世話は主にオスが行い、メスは見回りをします。卵を守っているクマノミに近づくと、突進してきて体当たりされることがあります。これがメスの役割なのです。

メスの体が大きいわけは以下の通りです。

①卵をより多く産むため
②卵や住みかを守るため
③長生きしているため

クマノミといえども、ずいぶん奥が深いですね。

産卵から約3日目の卵の世話をするクマノミのオス(奄美大島)

Photo & Text: 大方洋二 Yoji Okata

水中写真家。魚類の暮らしぶりを撮影するため、南西諸島や世界の海を巡っている。主な著書に「Marine Blue」(山海堂)、「クマノミとサンゴの海の魚たち」(岩崎書店)、「奄美 生命の鼓動」(講談社)、「アマミホシゾラフグ~海のミステリーサークルのなぞ~」(ほるぷ出版)など多数。東京在住。

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海の中の素敵な仲間たち 1 海の人気者、クマノミ 水中写真家・大方洋二  

[ 自然 ] 海の中の素敵な仲間たち 1 海の人気者、クマノミ 水中写真家・大方洋二  

Photo & Text : 大方洋二 Yoji Okata

キーワード : 奄美群島 / イソギンチャク / クマノミ

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