どこでも手に入る身近な花を、手持ちのグラスやマグカップ、お皿などを使って手軽に生けてみませんか?花道家・大久保有加さんが贈る、ハッピーでポジティブな花のある暮らしのエッセイといけばなレッスン。
今回の花材はスイートピーです。
春を呼ぶスイートピーのアレンジ
薄く可憐な花びらと甘い香りが人気のスイートピー、巻きヒゲを絡ませながらのびるマメ科の植物です。チョウがはばたいているような花びら、カラフルで幅広い花色を楽しみましょう。
色の種類が豊富なスイートピー

軽さを生かして伸びやかに。少し高い位置に飾ると横への流れがよく見えて素敵です。

光の屈折がキレイな手付きの硝子の器に。切り取った花はキャンドルポットに入れて。

浅いお皿に2本をからめて。1本1本の曲がりをよく見て、その形を生かしましょう。

花のすぐ上にハサミを入れ、2本に分けて使います。

茎や花の位置をよく見て、自然な流れを生かします。

リサイクルからアップサイクルへ。
世界は今、リサイクルからアップサイクルという、一歩進んだ価値観を見出し、自然と人との共生を測っています。
アップサイクルとは、「利用価値が失われたものに付加価値をつけ、新しいものに生まれ変わらせて再利用する」という試みのこと。ただ新しくするだけではなく、質の向上を図りながらリサイクルする運動で、ニューヨークの若手デザイナーの間で始められた活動だとか。
ジャンルを問わずに広がるこの運動、この言葉は、これからのキーワード。その背景には、自然環境の問題とエコロジー、自然と人との共存をデザインの中に醸し出す潮流が反映されているのです。
この価値観には、日本の美意識や思想にある本質が、大きく生かされています。生け花も、まさにアップサイクル。人が関わることで植物と花器を活かし、自然にはない美を作り上げ、その場を整えて空間を変貌させていくからです。
全てのものごとにおいて、その本質に宿る部分を自分の生き方に取り込んで、新しい価値をどのように見出し、本当の意味で豊かなライフスタイルを生み出していけるのか。
1本の花からも、たくさんのメッセージが放たれています。声なき自然からのメッセージをどのように受けとめられるのかが試されます。
私たちの感度や感性を磨くために花が教えてくれること。花を生けること、飾ることは、インスピレーションが広がる、ハッピーな自分磨きでもあります。
Text: 大久保有加
花道家。草月流師範。草月流を世業とする家に生まれる。 東京・高輪にある「IKEBANA ATRIUM」を拠点に、いけばな指導や作品発表を行うほか、花のイベントの企画、プロデュース、執筆、講演など活動は多岐にわたる。日本産花きを使った輸出振興、公立小学校への授業プログラム支援、子供たちへの花育など 、花き産業と花文化を繋ぎ、文化発信・文化交流・教育支援を軸に花を通したコミュニケーションの可能性を国内外にて行うため、 一般社団法人 ジャパ ン・フラワー&コミュニケーションズ (JAFLAC)を設立。代表理事を務める。http://jaflac.jp
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