太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
小寒 しょうかん
二十四節気23番目となる「小寒」。この日から立春の前日までが「寒」で、小寒は「寒の入り」といわれ、1年で最も寒い時期に突入したことを表しています。寒さの中、年が改まるという、1年で最も大きな節目を迎えます。
元旦から1月7日までを「大正月」といい、関東周辺ではこの間、関西では元旦から1月15日までを門松を飾る期間=「松の内」としています。
そして、1月15日を「小正月」といい、この前後は古来よりさまざまな行事が行われてきました。どんど焼きや左義長(さぎちょう)、道祖神祭り、三九郎焼きなど、地方や地域によって呼び名は異なりますが、正月に飾った門松や注連飾り、お札などを燃やす火祭り行事が主なもので、1年の無病息災や五穀豊穣を祈るものでした。
小正月には小豆粥(十五日粥)を作り、柳などの枝木に紅白の餅をつけた餅花を飾ります。また、昔の年末年始ともなると女性は大忙し。特に松の内にいただくおせち作りや松の内の寄り合いといったさまざまな行事がひと段落した小正月の頃、女性たちはようやく休むことができるので、小正月は「女正月」とも呼ばれたのです。
二十四節気「小寒」七十二候
小寒【初候】第六十七候・1月 5日〜 芹 乃 栄 せり すなわちさかう
小寒【次候】第六十八候・1月10日〜 水 泉 動 しみずあたたかをふくむ
小寒【末候】第六十九候・1月15日〜 雉 始 雊きじ はじめてなく

イラスト:クリスマスローズ(Helleborus)=キンポウゲ科の人気の高い多年草。和名はヘレボルス、また茶花として寒芍薬 (かんしゃくやく)という名もあり、下を向いて咲く風情が美しい。12月から3月の雪の降る時期に、他の草花に先駆けて花を咲かせ、冬枯れの庭に彩りを添えてくれる。
Piano: 水城雄
1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。