太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
立冬 りっとう
二十四節気の冬の始まり「立冬」。「立」は新しい季節になるという意味で、立春、立夏、立秋と合わせ「四立(しりゅう)」といいます。この日から立春の前日までが冬、西北の風「木枯らし・凩(こがらし)」が吹き、木々に残った葉も散らして、本格的な寒さの到来を告げます。
天気予報で「西高東低の冬型」という言葉を聞くようになります。西に高気圧、東に低気圧がある気圧配置のことですが、なぜこういう状況になるのでしょうか。
日本の西側にある大陸の内陸部、シベリアや中国は冬になるとー40℃以下まで気温が下がります。空気は寒いと重くなり、下降していくと地上部分の空気が濃くなって気圧が高くなります。一方、日本の東側の太平洋上は暖かく、空気は軽くなって上空へ昇っていきます。すると海面では空気が薄くなって気圧が低くなります。空気は気圧の高いところから低いところに流れていき、地球の自転の影響も加わって、シベリアから日本に向かって冷たい風が吹きつけることになるのです。
二十四節気「立冬」七十二候
立冬【初候】第五十五候・11月 7日〜 山茶始開 つばきはじめてひらく
立冬【次候】第五十六候・11月12日〜 地 始 凍 ち はじめてこおる
立冬【末候】第五十七候・11月17日〜 金 盞 香 きんせんか さく

イラスト:サザンカ(Camellia sasanqua)=ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹で日本の固有種。ツバキとよく似ているが、ツバキが早春から春に咲くのに対し、サザンカは10月末から咲き、晩秋の花として親しまれている。また、ツバキは花が終わると花全体がまとまって落下するが、サザンカは花弁が基部で合着していないので、1枚ずつパラパラと散る。
Piano: 水城雄
1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。
Illust: 朝生 ゆりこ (あそう・ゆりこ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。東京藝術大学美術学部油画科卒。雑誌、書籍のイラスト、挿画などを多く手がける。 https://y-aso.amebaownd.com