太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
霜降 そうこう
二十四節気の秋の最後「霜降」、朝晩の冷え込みも厳しくなってくる時期です。
朝起きてみたら、うっすらと霜が降りているのを見る日がそろそろあるかもしれません。
どうして霜は降りるのでしょうか?
大雑把にいうと、大気中の水蒸気が雲を形成し、雲の中で水滴が成長して落下してくるのが雨、それが氷の結晶であれば雪ですね。
一方、空気中の水蒸気が、上空ではなく、地表近くで0℃以下に冷えた物体の表面にくっつくと結晶化し「霜」となります。着氷現象の一種で、地中の水分が凍ってできる霜柱(しもばしら)とは異なり、空気と接しているあらゆる物体にできます。
地面は夜になると、日中に溜め込んだ太陽の熱を外に逃がします。このはたらきを「放射冷却」といい、特に風と雲がない夜にはより強く起こります。
気温が低い晴れた冬の朝、地表近くは放射冷却によってどんどん冷たくなります。すると空気中の水蒸気が、地面や石や草木の上、屋根や車の窓など、冷え切った物体に触れて霜となるのです。
霜の結晶も雪と同じく、枝やシダの葉や針、羽根など様々な形をしていてとても美しいものです。霜が降りた寒い朝、日が当たれば消えてしまう儚い霜の結晶を眺めてみてはいかがでしょう。
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二十四節気「霜降」七十二候
霜降【初候】第五十二候・10月23日〜 霜 始 降 しも はじめて ふる
霜降【次候】第五十三候・10月28日〜 霎 時 施 こさめ ときどき ふる
霜降【末候】第五十四候・11月 2日〜 楓 蔦 黄 もみじ つた きばむ

イラスト:ハナミズキ(Cornus florida)=ミズキ科ヤマボウシ亜属の落葉高木。別名アメリカヤマボウシ。北アメリカ原産で、4月下旬から5月下旬に白やピンクの花(苞)を付け、秋には紅葉して複合果の愛らしい赤い実をつける。1912年、東京市からワシントンD.C.へサクラ(ソメイヨシノ)を贈ったその返礼として、1915年に60本のハナミズキが贈られ、日本の植栽が始まった。
Piano: 水城雄
1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。
Illust: 朝生 ゆりこ (あそう・ゆりこ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。東京藝術大学美術学部油画科卒。雑誌、書籍のイラスト、挿画などを多く手がける。 https://y-aso.amebaownd.com