太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
大暑 たいしょ
陰陽五行説では、春を「木」、夏を「火」、秋を「金」、冬を「水」とし、季節の変わり目を「土」としました。この時期を「土旺用事・どおうようじ=土の気が旺盛に働く期間(用事)」、略して「土用・どよう」といい、立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間が土用にあたります。つまりどの季節にも土用はあるのですが、一般的には「夏土用」が最も知られているのではないでしょうか。
夏の土用は1年で最も暑さが厳しい時期にあたるため、江戸時代にはこの期間の「丑の日・うしのひ」を重視し、柿の葉などの薬草を入れたお風呂に入ったり、お灸を据えたり、ウナギや梅干しなど「う」のつくものを食べたりして夏バテ防止に努めました。またこの時期のカビや虫の害から守るために、衣類や書物に風を通して陰干しする「土用の虫干し」を行いました。
2020年の夏土用は7月19日から8月6日まで。初めの日を「土用入り」、最後の日を「土用明け」といいます。日本の四季に寄り添った細やかな生活の知恵を、これからも大切にしていきたいと思います。
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二十四節気「大暑」七十二候
大暑【初候】第三十四候・7月22日 桐始結花 きり はじめてはなをむすぶ
大暑【次候】第三十五候・7月28日 土潤溽暑 つちうるおうて むしあつし
大暑【末候】第三十六候・8月 2日 大雨時行 たいう ときどきふる
イラスト:タチアオイ(Alceaaea rosea)=地中海沿岸が原産のアオイ科の多年草、ホリホック。まっすぐ伸びる姿からタチアオイ(立葵)という和名がある。2mほど伸びた茎に一重から八重の華やかな花を穂状に付ける。梅雨入りごろ、花穂の下から順に咲き上がり、花が終わる頃に梅雨が明けるといわれている。
Piano: 水城雄
1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。
Illust: 朝生 ゆりこ (あそう・ゆりこ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。東京藝術大学美術学部油画科卒。雑誌、書籍のイラスト、挿画などを多く手がける。 https://y-aso.amebaownd.com