太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
小暑 しょうしょ
本格的な夏の到来を表す小暑。
春に生まれた小鳥たちが育ち飛び回って青春を謳歌する頃、タカなど大型の鳥の雛はようやく巣立ちを迎えます。
小さな鳥は抱卵期も短く巣立ちも早いのですが、食物連鎖の頂点にいる猛禽類はかなり時間がかかるそう。オオタカの場合、春の産卵後1カ月以上経ってようやく孵化し、さらに巣立ちまで35〜40日程度、その後も巣の周辺で親鳥と行動を共にし、餌をもらいつつ狩りの仕方などを学んでいくのです。
タカの親子が一緒に飛んでいる姿が、末候の「鷹乃学書」の時期と重なります。そして秋の気配が始まる8月になってから、ようやくオオタカの子供は親から完全に離れ、巣立っていくのです。
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二十四節気「小暑」七十二候
小暑【初候】第三十一候・7月7日 温 風 至 あつかぜ いたる
小暑【次候】第二十九候・7月12日 蓮 始 開 はす はじめて ひらく
小暑【末候】第三十候・7月17日 鷹乃学書 たか すなわち わざをならう
イラスト:スカシユリ(Lilium maculatum)=「透かし百合」と呼ばれるようになったのは花弁と花弁の間に隙間があることから。数株まとまって大輪を開き、色鮮やかでダイナミックな花弁や立ち姿が魅惑的で初夏の庭を華やかに彩る。日本には多くのユリが野山に自生し、古くから愛され、江戸時代初期から栽培や交配が行われてたくさんの品種が作られている。
Piano: 水城雄
1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。
Illust: 朝生 ゆりこ (あそう・ゆりこ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。東京藝術大学美術学部油画科卒。雑誌、書籍のイラスト、挿画などを多く手がける。 https://y-aso.amebaownd.com