太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
夏至 げし
二十四節気の10番目、夏至。北半球では1年のうちで昼の時間が最も長く、夜が最も短い1日となります。世界中で夏至を祝う行事が行われますが、この時期日本は梅雨真っ盛り、雨や曇天が多く太陽の恩恵に与る機会はそう多くないですが、この潤いの季節があるからこそ日本らしい風情に出会えるというもの。
6月末日は12月の大晦日と同じく「大祓(おおはらえ)」の日。各地で半年間に溜まった穢れを落とし、残り半年を無事に過ごせるように「夏越の祓(なごしのはらえ)」が行われます。厄災を祓うため、茅草で作った輪をくぐる「茅の輪潜り(ちのわくぐり)」という儀式を行う神社もあります。1年の半分が過ぎようとしています。
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二十四節気「夏至」七十二候
夏至【初候】第二十八候・6月21日 乃 東 枯 なつかれくさかるる
夏至【次候】第二十九候・6月26日 菖 蒲 華 あやめはなさく
夏至【末候】第三十候・7月1日 半 夏 生 はんげしょうず
イラスト:ハンゲショウ(Saururus chinensis)=ドクダミ科ハンゲショウ属の多年草。日当たりの良い湿地などで地下茎をのばして群生する。夏至のころ穂状の小さな花を咲かせるが、この時期に花穂のすぐ下の葉が付け根から先端にかけて白く変色する。名前は七十二候の半夏生の頃に花を咲かせることに由来する説と、葉が半分化粧したように見えることから「半化粧」とも。白い斑の面積はまちまちで、花が終わる頃には緑に戻ってしまう。幻想的なたおやかさが魅力。
Piano: 水城雄
1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。
Illust: 朝生 ゆりこ (あそう・ゆりこ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。東京藝術大学美術学部油画科卒。雑誌、書籍のイラスト、挿画などを多く手がける。 https://y-aso.amebaownd.com