太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
清明 せいめい
つばめが軒先をかすめて青い空高く飛んでゆく姿を見ると、いつもある種のすがすがしい気分がよみがえってきて、季節が繰り返すことのうれしさ、またおなじ季節がめぐってきたことのありがたさを実感する。
そんなつばめもめっきり見かける機会がすくなくなった。都市部ではもちろん、田舎でも営巣するためのちょうどいい軒先がないのかもしれない。
つばめも見かけにくくなったが、すずめはもっと見かける機会がすくなくなったと感じるのは私だけだろうか。ごくごくありふれた鳥だと思っていたけれど、たまに見かけたときにじっくり観察すると、思いがけずかわいく、飛びさって見えなくなるのが名残りおしかったりする。(水城ゆう)
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清々しく明るく美しい春の様子を表す「清浄明潔」という言葉を略したもの。沖縄では清明の節の期間に祖先の墓前に親族が集まり、花や酒肴をお供えして皆でいただく「清明祭(シーミー)」という、沖縄三大行事の一つが行われます。爽やかな風が吹き、百花が咲き競い、鳥は歌う、万物が輝く季節の到来です。
七十二候 清明初候・4月4日 玄 鳥 至 つばめ いたる
七十二候 清明次候・4月9日 鴻 雁 北 こうがん かえる
七十二候 清明末候・4月14日 虹 始 見 にじ はじめて あらわる
イラスト:カリン(Pseudocydonia sinensis)=中国原産の落葉樹。白や薄紅の花を咲かせ、秋に果実が実る。花、果実だけでなく、樹皮、新緑、紅葉も美しい樹木だ。
Piano: 水城雄
1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。
Illust: 朝生 ゆりこ (あそう・ゆりこ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。東京藝術大学美術学部油画科卒。雑誌、書籍のイラスト、挿画などを多く手がける。 https://y-aso.amebaownd.com