Part1では、佐渡の長畝生産組合のトキと共に生きる「生きものを育む農法」を紹介しましたが、今回は苗づくりから始まる米づくりの1年を紹介します。田植えや稲刈りはご存知かと思いますが、その前後ではなにが行われているのでしょうか。長畝生産組合での米づくりにおける、1年の作業を追ってみました。(※長畝生産組合での例となります。地域によって、時期や作業が異なります)
<春>田植えに向けて
■種まき・育苗
①種籾を土の入った育苗箱にまく。育苗箱の大きさは決まっていて、育った苗は田植機にそのままセットできるようになっている。
②③水と温度を管理して発芽させ成長させる。
④ビニールハウス内で12〜15cmくらいまで成長させる。

■田起こし・代かき
トラクターで水田の土を耕す田起こし、水を引き入れてから代(しろ)かきを行い、平らな田んぼとして田植えをできる状態にする。

■田植え
ビニールハウスで育てた苗を田植機で水田に植えていく。現在の田植機は乗用型がほとんどだが、歩行型もある。大きなものでは一度に8条(列)の苗を植えることも可能。

<夏> 稲の成長を促す作業
■中干し・水管理
初夏を迎えると、土中に酸素を補給して根の張りを強くするために、水田の水を抜いて、土にひびが入るまで乾燥させる中干しを行う(上)。排水がスムーズにできるように溝きりを行うこともある(下)。


■除草・追肥
夏の盛りには雑草も生えてくるので、水田の中はもちろんまわりの畦も除草を行う(上)。また、稲の状態を見て、追肥をする(下)。


<秋> 収穫からお米となるまで
■稲刈り
稲穂が黄金色に輝いたならコンバインで刈り取っていく(上)。コンバインは稲を刈り取りながら脱穀まで行うことができ、ここでお米は籾の状態となる。籾は、トラックなどで集められる(下)。


■乾燥・籾すり
集められた籾はライスセンターに運ばれる。ここで乾燥機により一晩乾燥され、うす摺で玄米となり、色彩選別機を通してJAに出荷します。

<晩秋・冬> 翌年への準備
■土づくり・冬水田んぼ
稲刈りを終えた水田は、トラクターで耕し稲わらをすき込む。稲わらは土の中で分解され翌年の肥料となる(上)。そして、田んぼに水を入れ冬水田んぼ(冬期湛水)にすることにより、豊かな生態系が保全される(下)。


Text: 中澤浩明 (なかざわ・ひろあき)
群馬県高山村で雑誌&サイトなどの編集と農業を両立させる編集者。
ブログ『無農薬・有機でこめづくり』
www.diane-o.com